前記事の『ドラゴンズドグマ』と"ドラゴンズ"つながりで『空挺ドラゴンズ』の紹介です。
『空挺ドラゴンズ』は2020年1月8日深夜から、フジテレビ「+Ultra」枠などで放送された2020冬アニメ。
ネット配信においては、同日よりNetflixにて独占配信、全話一挙放送という形が取られました。
どんな内容なのか、作品をみるべきか否か、判断の材料をみていきましょう。
食べるので、料理アニメっぽさもありです。
比較×紹介
原作は、講談社「good!アフタヌーン」にて2016年から連載。
(「good!アフタヌーン」は「月刊アフタヌーン」の増刊号、同じく月刊)
見ての通りとても味のある絵ですね。
4巻の特装版では、上記の裏表紙を合わせた一枚絵を見ることができます。
特装版はオールカラーの小冊子が付属。
そのような需要があるというわけです。
作者は「桑原太矩」先生。
他作品
漫画『とっかぶ』は日常+青春ものでした。
前作は、学校を舞台にした特殊な部活の話。
懐かしさのある写実的な背景と、柔らかいタッチのキャラが合っていました。
『空挺ドラゴンズ』においても魅力的な雰囲気は健在です。
桑原先生の絵柄に、+αでファンタジーな世界観が混ざると、刺さる人にはとても刺さる作品となっています。
3行で内容紹介:捕って、料理して、食う
- 飛んでいる龍を捕る
- 龍を料理して食べる
- 街で補給したり、素材を売る
「ラピュタの世界観で龍を捕る」お話です。
桑原太矩先生いわく、ナウシカの影響を受けているとのこと。
作品では龍捕り(オロチとり)を軸にストーリーが進みます。
飛んでいる龍を、まるでクジラを捕るかのように狩猟。
捕って終わりではなく、解体して手に入った素材を活用するところまでがセットです。
手に入った新鮮な龍肉の一部は、料理されておいしく食べられます。
また、補給や売却に寄った街では事件やドラマが巻き起こります。
空の上だけでなく地上でもアクシデントが起こることでお話に厚みが出ています。
もちろん旅のメインは空。
舞台は空なわけで、空には夢があるわけで、ラピュタでいう『タイガーモス号』は、空挺ドラゴンズの捕”龍”船『クィン・ザザ号』にあたるわけです。
テンションが上がりますね。
空の上、船室でとる食事にあこがれた方がいたら、大変おススメになります。
オススメ要素① 独特な空気感
ラピュタと例に出しましたが、スタジオジブリの宮崎駿さんは、メビウスさんと互いに影響しあっていたようです。
空挺ドラゴンズを最初に読んだとき、読後感がとても良いものでした。
空で好みの女性をみて、思わず「いい……」と一言つぶやいてしまうあの感じです。
「捕る」ということは殺生を行う訳でもあります。
『空挺』に触れている間は、時間がゆったりと流れているような、そういう空間に身を置くことができます。
かつて身近な人間が家畜をしめていた時代ですね。
同じくアニメ化されている『蟲師』(本誌「月刊アフタヌーン」掲載)にも言えることですが、電子書籍よりもつい紙で読みたくなるような不思議な雰囲気です。
原作が青年誌ということもあり、メインの主人公は青年になります。
しかし群像劇のような一面も持っていて、女性や少年、壮年のおじさんなど、他の登場人物を主人公とみることもできます。
またそれぞれのキャラクター達が、同じ空間で過ごすことの多い作品です。
家族というと言い過ぎな気もしますが、作中の日常が心地よく感じられる作品となっています。
龍の肉、料理がうまそう
ただ捕るだけでないのが『空挺ドラゴンズ』の魅力です。
猟師のジビエ(野生肉)のように、獲った人でないと食べられない素材と環境で現地めしみたいな要素があります。
具体的な料理名をあげると、龍のカツレツ、ステーキサンド、テリーヌ、龍の悪魔風(姿せんべいみたいな押し焼き)などなど。
これらをしっかりした道具(鉄スキレットや鍋)で作ると非常に美味しそうに見えます。
漫画でも美味しそうだったのに、アニメで色がついたらどうなるのか想像にかたくないですね。
ファンタジーなゲテモノ食いで言うと漫画『ダンジョン飯』などが思い浮かびますが、『空挺ドラゴンズ』はおもいっきりリアル寄りになります。
現実味があるぶん、摂食中枢が刺激され、飯テロになること必至かもしれません。
オススメ要素② ヒロインが可愛い&生活に根差している
左の4巻表紙がクールビューティ、お姉さんタイプな「ヴァナベル」。
右の7巻表紙、おさげの子が明るくて元気な「タキタ」。
黒髪長髪の子が主人公「ミカ」。
この3人はクィン・ザザ号でも目立つキャラたち。
捕龍船には女性が何人も乗っています。
彼女たちには、船上での生活ならではの悩みもあるはず。
日々を過ごす上でのリアルな描写がまた現実味を与えてくれます。
特にタキタ×ヴァナベルのやり取りは姉妹のようで想像がはかどる。
彼女たち以外にも登場キャラがたくさんいて、各キャラクターの関係性に癒されます。
主人公ミカ&龍のための武器
可愛いだけでなく、カッコいいも重要です。
燃える戦闘を目にしたら、思わず世界にのめり込んでしまうはず。
黒髪の青年・主人公ミカはやるときはやるタイプ。
一風変わった人物に見えて、どこか一本気(食欲に忠実)な性格でセリフに重みがあります。
当然料理もできる。身なりを整えたらモテそう。
味が落ちるという理由で、遠距離で撃てる「電気矢」を使わず、龍相手に接近戦をしかけるたくましい一面もあります。
武器や装備については、設定が豊富です。
原作の漫画に分かりやすい絵が載っています。
例えば、「電気矢」を打ち込む銃器は「火裂矢」も装填可。
銃は中折れ式の大口径になっていたり、弱点に打ち込む「槍打銃」という槍があったり、わくわくする装備がてんこもり。
あらかじめ、武器にも種類があると知っておくと、よりアニメを楽しめるはずです。
視聴前の読み込み
『空挺ドラゴンズ』は「空挺ドラゴン製作委員会」の制作です。
製作委員会には下記の10社が名を連ねています。
製作委員会
アニメーション制作は、ポリゴン・ピクチュアズ。
『シドニアの騎士』『BLAME!』のスタッフが再集結したとのこと。
弐瓶勉先生の両作品とも「月刊アフタヌーン」に掲載された作品でした。
(他には、『亜人』もアフタヌーン原作×ポリゴンピクチュアズ制作)
参考に見ていきましょう。
スタッフさんを見ていく(Twitterのリンク)
(敬称略、直近で有名そうな作品を後付け)
原作:桑原太矩 (@kwbrtk)|Twitter
(講談社「good!アフタヌーン」連載)
監督:吉平 tady 直弘 (@tady1173) |Twitter
(『BLAME!』副監督/CGSV 、『シドニアの騎士』副監督 )
シリーズ構成・脚本:上江洲 誠 (@uezux)|Twitter
(『この素晴らしい世界に祝福を!』『アルスラーン戦記』など)
プロダクションデザイン:田中直哉/森山佑樹 (@marshy_mallow) |Twitter
アニメーションキャラクターデザイン:小谷杏子 (@koni_ko222)|Twitter
(『 PSYCHO-PASS 3 FI』原画・作画監督、 『黒子のバスケ3rd season』作画監督など)
音響監督:岩浪美和 (@namisuke1073)|Twitter
(『この素晴らしい世界に祝福を!』『ソードアート・オンライン アリシゼーション』『ワンパンマン(第2期)』など)
音楽:横山克 (@masaruyokoyama)|Twitter
(『Fate/Apocrypha』『寄宿学校のジュリエット』『フルーツバスケット』など)
オープニング・テーマ:神山羊「群青」
(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
エンディング・テーマ:赤い公園「絶対零度」
(Epic Records Japan)
ファンタジー作品を突き詰めた人はいるのか?
特筆すべき点としては、吉平"Tady"直弘さんが初監督ということでしょうか。
『シドニアの騎士』や『BLAME!』では副監督を担当されていました。
音楽の横山克さんはアニメのBGMだけでなく、映画やテレビ番組、ドラマなどの劇半も数多く作られています。
日本らしい普通のアニメではなく、海外VODの雄Netflixや、海外にも目を向けたフジテレビ「+Ultara」枠の作品ということが、スタッフさんからも見て取れるかもしれません。
ハードルを下げるための知識
期待しすぎると「そこまで面白い?」となってしまうので、あらかじめハードルは下げておきましょう。
動きや質感が硬くなるのがネックですが、3Dでしか表現できない世界があるはずです。
3Dでの制作は難しそうな一方で、期待感も高まります。
料理は美味しく調理されて食されているのか。
龍の鳴き声や質感は、OPやEDの雰囲気を含めどんな作品になっているのか。
原作未読の方は、より先入観なく作品を楽しめるはずなのでばっちりオススメできます。
食わず嫌いしがちな3Dアニメですが、原作と比較してみるもよし、初見で視聴するもよし。
少なくとも新しい表現のアニメと出合えるのは間違いありません。
余談
竜食べます。
ジブリは最たるものですが、想像しやすい別作品とリンクさせて視聴するのも一つの楽しみ方かもしれません。
海外版のなじみ具合がすごい
カッコいいかもしれない。
©桑原太矩・講談社/空挺ドラゴンズ製作委員会