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【原作紹介】『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』"小説家になろう"の王様

2021-02-08

『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』は2021年1月10日24:00~、TOKYO MXBS11などで放送の2021冬アニメです。
ネット配信ではdアニメストアニコニコにて地上波と同時配信となりました。

原作はどんな内容なのか、視聴するかどうか、判断の材料を置いておきます。

もぐら(カレー)
『無職転生』か、この系統はすこし食傷気味だ。
もぐら(小豆)
最近はよく見かけますね。
しかし原作は「なろう」の王様と言っても過言ではありません。
もぐら(カレー)
それにしては、遅いアニメ化のような?
もぐら(小豆)
理由は色々ありそうです。
完結が近い単行本にあわせた、という憶測もできます。

👍Very Good

  • ファンタジー世界に浸れる
  • 大河ドラマのような壮大さ
  • 完結した物語、話に起伏がある

⚠️Notes

  • 一部にマニアックな趣向
  • 文庫本にして約28冊と長編
  • 存在しない続編が読みたくなる

原作との比較×紹介

無職転生 1巻表紙出典:『無職転生』1巻 ©Rifujin na Magonote 2014
無職転生 キービジュアル出典:アニメ『無職転生』 ©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

もぐら(カレー)
中央下が主人公? 他に同一人物は……
もぐら(小豆)
主人公の他に青髪緑髪の子が同じです。(赤髪の子は別)
書籍では「家族」に、アニメでは「仲間」に焦点があたっている画のようです。

原作の作者は理不尽な孫の手先生、イラストはシロタカ先生。
アニメのキャラクターデザインは杉山和隆さんになります。

「小説家になろう」の草分けとして紹介されるこの作品。
王様と評したのは、長らく総合ランキング一位に君臨し続けたからです。
(※アニメ放送時点では『転スラ』が総合一位)

なろうにて何らかの作品を読んだあと、次に手を出すものと言えばランキングの作品になります。
界隈において知名度、人気ともに抜群の作品ではないでしょうか。

「小説家になろう」での同期

ほぼ同時期に連載を開始した「なろう作品」がいくつかあります。

『無職転生』の同期

  • 2012年10月~『盾の勇者の成り上がり』
  • 2012年11月~『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』
  • 2012年12月~『この素晴らしい世界に祝福を!』
    (小説家になろうから削除済み)
  • 2013年2月~『転生したらスライムだった件』

こうして並べてみるとすごいメンバーです。

アニメ化も同時期にされています。
このすば!』だけ2016年のアニメ化と早いですが、
転スラ』二期は2021冬クールに、『盾の勇者』二期が2021年内に放送。

ちなみに、2021年冬アニメにおける「なろう作品」の『蜘蛛ですが、何か?』は2015年掲載開始と3年ほど開きがあります。

3行で内容紹介:ファンタジー、旅、家族

  1. 転生&幼少期から鍛錬
  2. 事件が起きて、旅へ
  3. 家族のための行動が使命をおびる
もぐら(小豆)
内容をごく簡単に言ってしまえば、
ファンタジー世界で旅をする」お話です。

「旅」と漠然と言っても、色んな種類の旅があるかと思います。
『無職転生』における旅は、必要に迫られての旅です。

出発に至るまで様々な伏線があります。
ヒューマンドラマがひとつのテーマです。

そして『無職転生』でいう家族とは、『ドラゴンボール』や『NARUTO』に近い家族のイメージになります。
次の世代に物語が続いていく設定ですね。

しかし、あくまでメインは主人公・ルーデウスのお話。
アニメで意志を継ぐのは主人公になります。

オススメ要素①:ファンタジー好きにはたまらない

もぐら(小豆)
旅先の雰囲気は一味違っています。
中世ヨーロッパ風の世界には長居しません。
もぐら(カレー)
「"ナーロッパ"」は割と好きだがな。
もぐら(小豆)
「"なろう"」と「"ヨーロッパ"」をかけた造語ですね。
それはそれで安心感が違います。

最初はおなじみ(創作における)中世ヨーロッパ風の世界です。

すこし違うのは、世界の設定がしっかり背景にあること。
複数の大陸があり、広大な世界が存在しています。

各地にいる冒険者や旅人によって、種族や言語、風習の違いを認識できます。
あのキャラの故郷はこうなっていたのかと、しばらく話を読み進めれば、まるで自分が旅してきたような気分になるはずです。

強さの区分、ランク付けがうまい

もぐら(カレー)
どうせインフレするのだろう?
もぐら(小豆)
具体的な数値はなく、上限や相性があります。
主人公は強くとも、最強でないところが良いところ!

強さの区分とは、分かりやすいランクのようなもの。
陳腐になる可能性をはらんでいますが、一度この表現に慣れてしまうと、これ以上のない魅力へと変わります。

初登場のキャラクターが一字で理解できるというのはすごいことです。

そして何より、皆大好きな強さ議論ができます。

オススメ要素②: 完結した物語

もぐら(小豆)
2012年11月から始まった掲載は、2015年4月に完結しています。
もぐら(カレー)
良いことだ。最後まで物語を追える……。

完結までにはわずか2年半ほどと短いですが、
総文字数は2,829,292文字とかなりの量。

一般的な文庫本は1冊10万文字とのこと。
それに当てはめると28冊ほどになります。

2012年から掲載が始まった『無職転生』。
2014年には「MFブックス」より書籍化しています。
KADOKAWAとフロンティアワークスのレーベル、『盾の勇者』や『八男って、それはないでしょう!』が同レーベル)

アニメ放送開始時点で、24巻まで刊行
すでに完結に近いところまでお話が進んでいます。

ちなみ書籍のサイズは、大判と呼ばれるB6判。
小説の単行本や青年コミック、コンビニコミックなどと同じ大きさです。

書籍の真価が発揮されるのは一度通しで読んだあとかもしれません。
巻末のおまけなどがあり、挿絵や設定画をみると「そんな顔してたのか」と新鮮な気持ちになるはず。

書籍の購入を通して作者さんの応援をしている人も多いかと思います。

特別小冊子つきアニメ特装版も発売されました。
アニメ放送中の時点では、通常版は中古しか出回ってないようですが、特装版のお値段は変わらずです。

よく練られたストーリー

もぐら(カレー)
なろう作品なら、テンプレ通りなんだろう?
もぐら(小豆)
そうですね。
ですが、テンプレの元になった側です。
他の人に真似できない部分があります。

テンプレとは、テンプレート通りという紋切型、ステレオタイプな展開のことです。

なろうに親しんだ人であれば、

  1. 転生or転移 ⇒
  2. 何か力をゲット ⇒
  3. 冒険者ギルドへ登録 ⇒
  4. 女の子と出会う(順不同)

みたいな流れは想像できるかと思います。

それでも読み始めたら止まらないのがなろう作品。

ほぼ場面形式で構成されていることが、理由のひとつにあります。
リアルタイムに登場人物たちが動いて話して、お話を追っていける構成ですね。

悪く言えば要約や説明が少なく、だらだらとお話が続くのが欠点です。
しかし『無職転生』は展開に山あり谷あり、平凡なストーリーとはかけ離れています

作者の理不尽な孫の手先生は、「なろう小説の書き方」をストーリー仕立てにした作品を投稿されています。

小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋』の「L???」(※文字化けではなく、10話にあたります)にある一節です。

 日本人の1分間の平均読書速度は400~600字だそうだから40分で読めるのは、16000字~24000字ぐらいだ。

1話の平均を5000字ぐらいに設定すると、3話~5話になる。

この3話から5話の間に、話を一区切りさせる。

話し合いのシーンでも、戦いのシーンでもいいが、3~5話以上は続けない。

あるいは、何か一つでもいいから、読者に面白いと思わせるようなことを書く。読者に刺激を与える。

それを繰り返すことで、読者は集中→休憩→集中のサイクルを繰り返しつつも、情報を途切れさせることなく、読み続けることができる。
出典:https://ncode.syosetu.com/n1077eb/11/

読者が離れない程度の面白さを通常の状態に、
とあるタイミングですごく面白い瞬間を意図的につくっているようです。

もぐら(カレー)
かなり考えられているようだ……
もぐら(小豆)
「なろう」というものを知りたい人、小説を書こうとしている人にはおすすめの短編小説です。

無職転生は人生?

もぐら(小豆)
「無職転生は人生」という評価(!)を見かけることがあります。
もぐら(カレー)
よそから見ると気持ち悪いが、その気持ちは分かる。

なぜ人生と評価されるかといえば、
通しでみると作品が人生を描いているためです。
伝記や大河ドラマの性質が近いですね。

別れがあれば再会もあり、友が敵に、敵が友になる。
登場人物の人生がそれぞれに想像できます。

主人公を例に言えば、
「前世が無職であっても、転生を機に大仕事を成し遂げた」
という称賛が込められているのだと思います。

最後まで読んだ人はもれなく、
「寄付」や「ドネーション(donation)」の意味を理解できるようになるはず。
ネット上で見かけても、なかなか手の出しづらいアレです。

もし、動画配信サイトの「投げ銭やおひねりシステム」のようなものがあれば、お金が飛び交っていることでしょう。

アニメ視聴前の読み込み

もぐら(小豆)
無職転生製作委員会の制作です。
もぐら(カレー)
漢字が多めだ。

製作委員会には下記の7社が名を連ねています。

製作委員会

    • 博報堂DYミュージック&ピクチャーズ
    • 東宝
    • KADOKAWA
    • フロンティアワークス
    • BS11
    • グリー
    • EGG FIRM

アニメーション制作は、スタジオバインド

こちらは2018年11月に設立された新しい会社です。
『無職転生』のために作られた制作スタジオと言っても過言ではありません。

スタジオバインドへの出資は2社で、共同で設立されています。

  • WHITE FOXリゼロ、シュタゲなどの企画・制作)
  • EGG FIRMSAO、ダンまちなどの企画・プロデュース)

『無職転生』への力の入れようが見て取れますね。

アニメスタッフさんを見ていく

もぐら(小豆)
話数によって担当スタッフさんが変わりますが、大枠は変わらないはず。
参考に見ていきましょう。

※敬称略です

原作:理不尽な孫の手
(MFブックス/KADOKAWA刊)

監督・シリーズ構成:岡本 学
(『ゲーマーズ!』)
助監督:平野宏樹
(『SAO アリシゼーション』、『Fate/Apocrypha』絵コンテ・演出など )
キャラクターデザイン:杉山和隆
(『ダーリン・イン・ザ・フランキス』作画監督など)
サブキャラクターデザイン:齊藤佳子
(『回復術士のやり直し』、 『炎炎ノ消防隊』、『アサシンズプライド』作画監督など)
美術監督:三宅昌和
(『この素晴らしい世界に祝福を』、 『賢者の孫』、『ID:INVADED』など)
色彩設計:土居真紀子
(『Fate/Apocrypha』色彩設計、『銀の匙 Silver Spoon』、『灰と幻想のグリムガル』色彩設計補佐など)
撮影監督:頓所信二
(『ゲーマーズ!』、『幼女戦記』、『星合の空』など )
編集:三嶋章紀
(『N・H・Kにようこそ!』『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』など)
音響監督:明田川 仁
(『転生したらスライムだった件』『Re:ゼロから始める異世界生活』『はたらく細胞』など)
音楽:藤澤慶昌
(『ラブライブ』『ゆるゆり』『慎重勇者』『俺を好きなのはお前だけかよ』など)

テーマソングプロデュース・歌唱:大原ゆい子
(TOHO animation RECORDS)

もぐら(カレー)
なるほど、よく分からない。
もぐら(小豆)
日常ものや青春ものに関わりある方が多い印象です。

監督は「ゲーマーズ!」で監督を担当された岡本学さん。
今作はシリーズ構成(脚本)も兼任。
原作をなるべく尊重できるように、という狙いがあるようです。

美術監督や編集、音楽(BGM)、音響監督、音響効果(サウンドエフェクト)などなど、周りを固めるのは超ベテランの方々。
キャラクターデザインの杉山和隆さんや齊藤佳子さんは、作画監督も担当されています。

ハードルを下げるための知識

もぐら(小豆)
あの作品が最高におもしろい、世間で評価されている――。
期待しすぎると「そこまで面白い?」となるので、あらかじめハードルは下げておきましょう。

もぐら(小豆)
単刀直入に言うと、
一部に「エッチな要素」があります。
多少マニアックなものです。
もぐら(カレー)
!!! それは構わない。
が、世間は構うか……?

『無職転生』は一応、男性向けの作品にカテゴリ分けできるかと思います。
そうなるとセクシーな要素は不可欠。
そのセクシーさに生々しさがあり、人によっては気になるかもしれません。

さらにアニメでは問題が別にあります。

それは雑念が入ること。
気にしている人がいるがために、「これは大丈夫なのか?」と気にしてしまう精神。
これが厄介ですね。

いくら創作における転生の話とはいえ、やって良いことと悪いことがあります。(読者の後味が悪くなるため)
ですが、主人公は自制し学んでいきます。

どうしようもない人物が変わるきっかけとなったのが「転生」だったという訳です。

余談:タイトル観ない人へ、肌に合わない人に特徴を伝える

もぐら(カレー)
タイトル、ぶっちゃけ印象は良くないな
もぐら(小豆)
そうですね。敬遠されそうです
もぐら(カレー)
それでも『無職』であったことに意味のある話なのだろう?
もぐら(小豆)
はい、主人公の行動原理がひとつ。
もうひとつは物語の結末に関係しています。

理不尽な孫の手先生は、ほろりと涙腺に効くお話を書かれています。
特に親視点での話が良く、すでにお孫さんがいるのではないかと邪推してしまうほどです。

……というのは言いすぎですが、キャラが生きています。

しかしこのタイトル、「これなのに凄い人気」だということも言えます。
なぜ人気なのか一目確かめてみるのも一興かと思います。

もぐら(カレー)
これは、ただのティザームービーでは?
もぐら(小豆)
どうやらこのまま動くようです。

アニメしか観ない人へ六面世界の物語

もぐら(小豆)
本筋とは別に2つお話があります。
時系列でいうと本編の過去と、
未来(語られなかった現在)のお話です。

本編外のお話はしみじみと舞台裏をのぞくことができます。
過去編は序盤、物語に入りづらい構成ですが、本編既読であれば大変オススメです。

もしアニメを観て、原作を読んだ方がいればぜひどうぞ。


©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

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